綾部動物病院

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動物由来感染症③(パスツレラ症、ネコ引っかき病)

 動物由来感染症について、今回は、犬や猫に咬まれたり、引っかかれたりしておこる病気についてお話しいたします。



〇パスツレラ症 



~病原体~



 日本ではパスツレラ・ムルトシダ、パスツレラ・カニス、パスツレラ・ダグマティス、パスツレラ・ストマティスの4種の細菌がイヌ・ネコのパスツレラ症の原因菌として確認されており、このうちパスツレラ・ムルトシダが原因になることが最も多くなっています。



?~関係する動物~



 パスツレラ菌は哺乳類の上気道や消化管に常在しています。イヌやネコの保菌率は高く(イヌ約75%、猫ほぼ100%)、人にも感染します。



~感染経路~



 パスツレラ菌はイヌやネコなどの口腔内常在細菌です。



 本菌の人への感染経路は、大きく①動物の咬傷による創傷感染、②動物からの非外傷性感染(多くは呼吸器感染)、③動物との接触歴が不明な感染の3つに分かれます。日本では①が30%、②が50%、③が20%となり、動物の関与が大きいことが分かります。



~動物の症状~



 保菌するイヌやネコは通常無症状で不顕性感染ですが、まれに猫が肺炎を起こすことがあります。



~人の症状~



 パスツレラ症は、受傷後、短時間で症状が出るのが特徴です。早いときは受傷後、数時間で受傷部位が赤く腫れ、痛みや発熱を伴ない、近くのリンパ節が腫れることもあります。パスツレラ症の受傷部位の炎症は皮下組織の中を広がる炎症です。



 受傷部位が関節に近いと、関節炎を起こし、傷が骨に達すると骨髄炎を起こします。抵抗力の弱い人では重症化し、敗血症や骨髄炎をなり、死亡することもあります。また呼吸器の病気をもっている人に肺炎を起こしたり、健康な人でも気管支炎や副鼻腔炎、外耳炎などになることがあります。



~発生状況~



 パスツレラ症は発生数が年々増加傾向にあります。



~予防~



 イヌやネコとの接触にけじめをつけることが最も重要です?。ペットと一緒に寝ないこと、食べ物を口移しで与えたり、キスしたりしないことです。また、動物と接触したら手洗い、うがいを励行しましょう。



 また、イヌやネコに咬まれたり、ひっかかれたりしないように注意し、傷を受けた場合は石鹸でよく洗いましょう。



〇猫ひっかき病



~病原体~



 猫ひっかき病は、バルトネラ・ヘンセレという細菌による人とネコとの共通感染症です。



~関係する動物~



 バルトネラ・ヘンセレはネコの血液に感染します。通常、人はバルトネラ・ヘンセレを保菌したネコから感染しますが、ごくまれにイヌから感染したと思われる例も報告されています。



~感染経路~



 口や爪にバルトネラ・ヘンセレを保有したネコが、人に咬みついたり、引っかいたりすることにより、皮膚から直接感染します。ネコ同士では、ケンカによる直接感染や、ネコノミの吸血による媒介によって伝播します。人もまれに保菌ネコを吸血したネコノミから感染することがあります。ノミが人へ感染する経路は、ネコを抱き上げときに人に飛び移って感染する場合と、カーペットやソファーなどに潜伏しているノミの成熟さなぎが人の接触を感知して脱皮し、成虫になって人に飛び移って感染する場合とがあります。



~動物の症状~ 



 ネコやイヌの場合、この菌に感染しても無症状です。



~人の場合~



 ネコからの受傷後、数日から2週間後に受傷部位に赤い丘疹(おでき)や膿庖(小さい化膿巣)ができます。さらに数日から数週間後に受傷部位の所属リンパ節が腫れて、痛みを伴ないます。発熱、頭痛、倦怠感、肝臓の腫れがみられることもあります。まれな合併症として、脳症、髄膜炎、肝脾膿瘍が起きることがあります。



~発生状況~



 日本の飼育猫では8.8%のネコがバルトネラ・ヘンセレに対し抗体陽性であり、7.2%のネコが菌を保有してるという報告があります。



~予防~



 ネコの引っかかれたり、咬みつかれたりしないことが重要です。ネコの特性や性格をよく理解して、過度に接触をしないことです。ネコの爪切りと、ネコノミの駆除を定期的に行うことも予防策となります。



〇破傷風



~病原体~



 破傷風菌の芽胞は土の中で何年も生きることができる嫌気性細菌です。破傷風はこの菌がつくる毒素によって激しい筋肉のけいれんが起こる病気です。



~感染経路~



 破傷風は、さびたり汚れている物体によって受けた切り傷や刺し傷などによって起こりますが、まれにイヌやネコの咬まれたり、引っかかれたりしても感染することがあります。



~症状~



 通常、症状は感染の5~10日後に現れます。筋肉のこわばりやけいれんが起こり、口が開きにくくなったり、落ち着きがなくなったり、ものを飲みにくくなったり、頭痛、発熱、のどの痛み、悪寒が起こります。全身性のけいれんが起こると呼吸ができなくなり、死亡することもあります。



 傷の近くの筋肉だけにけいれんが起こる場合もあり、数週間続きます。



~予防~



 破傷風はワクチンで予防できます。予防ワクチンの効果は約10年です。日本では、乳幼児に接種する3種混合ワクチン(ジフテリア、百日咳、破傷風)、2種混合ワクチン(ジフテリア、破傷風)の不活化ワクチンで予防します。



 最後に接種したときから10年が経過していたら、追加接種を受けましょう。



 イヌやネコに咬まれたときは、破傷風ワクチンと破傷風免疫グロブリンを接種します。



 破傷風菌は空気に触れるのが苦手なので、菌が入ったまま傷口がふさがると増殖してしまいます。咬まれたらすみやかに流水で傷口を洗い流すようにしましょう。異物や損傷した組織は、必要があれば外科的に取り除きます。



〇カプノサイトファーガ・カニモルサス感染症



~病原体~



 カプトサイトファーガ・カニモルサスという細菌で、動物(イヌやネコなど)の口腔内に常在しています。



 保菌率 イヌ75% ネコ60%



~感染経路~



 イヌやネコに咬まれたり、引っかかれたりすることで感染・発症します。



~人の症状~



 発熱、腹痛、倦怠感、吐き気、頭痛などが起こります。重症例では、敗血症や髄膜炎を起こし、ショック、多臓器不全に進行して死にいたることもあります。重症化した場合、敗血症になった方の約30%が、髄膜炎になった片の約5%が亡くなるとされています。



潜伏期間は2~14日。



~発生状況~



 日本においては、重症化した患者の文献報告(2002~2009年)が14例あります。その中の6名が亡くなっています。



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 上記のように、イヌやネコに咬まれたり、引っかかれて起こる感染症は多くあります。命を落とすことや後遺症が残ることもあります。



 イヌもネコも相手を簡単に傷つけることのできる鋭い歯を持っています。争いごとを解決する手段として、あるいは危険な相手から身を守るために、うなって威嚇し、咬みつこうとすることもあります。人間でもついカッとなって人をどなったり、身を守ろうとして相手を傷つけたり、ときには殺傷したりすることさえあるように、イヌやネコにも人を咬む危険性はあるといえます。イヌやネコがどんなに可愛い姿でも、咬む動物だと認識しておくべきです。



 また、人間の子供に命の尊さや人を傷つけないことを教えるのと同じように、愛犬にも、子犬のうちから、人に咬まないようにしつけをすること、人や人間社会に馴染ませておくことが大切です。咬むことは、人間社会で共存していくには、許されることではありません。可愛い愛犬が、人に咬みつくようなワンちゃんにならないように、子犬のうちから、正しくしつけることが大切です。



 子犬を飼い始めてどのようにしつけをしたらいいか分からないときや愛犬がすでに咬みついたり、うなったりするような問題行動でお困りのときには、遠慮なくご相談ください。


 

※ 全院で、夜間診療は行っておりません。