綾部動物病院

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人と動物の共通感染症④(疥癬症、皮膚糸状菌症)

 人と動物の共通の感染症の今回は、人に皮膚病を示す感染症についてお話します。



 今まで、動物と触れ合って、痒くなったり、発疹ができたりしたことはありませんか。もしかしたら、知らないうちに動物の皮膚病に感染していたのかもしれません。



 イヌやネコ、ウサギの皮膚病の中には、人に感染する皮膚病もあります。 原因としてノミマダニの他に、疥癬、皮膚糸状菌などがあります。今回は、名前があまり知られていないけれども、地域猫や外で飼われているイヌやネコで発生している疥癬症皮膚糸状菌症についてお話します。



?〇疥癬症



~病原体~



 イヌセンコウヒゼンダニ(Sarcoptes scabiei)、ネコショウセンコウヒゼンダニ(Notoedres cati)による感染症です。



 ヒゼンダニは体表に寄生し、表皮を食べて生活します。メスダニは皮膚の中にトンネルを掘り、そこに産卵します。そのダニの卵は、3~10日でかえり、成ダニに成長しします。ヒゼンダニは宿主を離れると1~2日しか生きられませんが、伝染力がとても強く、簡単に感染します。



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~関係する動物~



 イヌセンコウヒゼンダニはイヌ・ネコやその他の動物に感染し、人にも感染します。ネコショウセンコウヒゼンダニは、ネコを主な宿主とし、人にまれに寄生することがあります。



~感染経路~



 感染している動物から落ちたヒゼンダニがいる場所に、散歩で別の動物が通ることによって、感染したり、感染動物とのふれあいで、感染します。



 また、感染動物のケージ、首輪、リード、ブラシなどから感染します。



 動物から人へは感染した動物を抱いたりした時に直接人の肌に感染します。



 人の間でも夫婦間、親子間など親密な共同生活者の間で肌から肌へ直接感染します。寝具などを介して間接的にも感染します。



~動物の症状~



 イヌセンコウヒゼンダニの寄生部位は全身に及びます。痂皮(主に体表の傷などの表面を被う凝固した血液や膿の混合物)の形成が特徴的で、皮膚の肥厚や脱毛などもみられます。



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 ネコショウセンコウヒゼンダニはネコの顔面や耳介に多数寄生します。痂皮の形成、皺壁(ひだ状になった皮膚)の形成などの皮膚病変を起こします。



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 強い痒みが起こり、病変部を掻くことによって皮膚を傷つけ、細菌による二次感染が生じやすくなります。



 疥癬症を放置しておくと、病変が全身におよび、痒みからくるストレスや栄養状態が悪くなるため、幼若や高齢の動物は症状が重くなります。



~治療~



 疥癬を駆除する薬を注射したり、痒みを抑える薬や抗生物質を内服して。治療しますまた、皮膚炎を起こしている場所の毛を刈り、消毒したり、薬用シャンプーで、洗ったりします。



~人の症状~



 犬や猫から感染するヒゼンダニは人間の皮膚の上では3週間以上は生きることができないため、症状は一時的なものです。ただし、抵抗力の弱い方が感染すると症状が重くなることもあります。



 ヒゼンダニは全身に寄生し、特に胸部、腹部、背部、指間、陰茎などに病変を形成することが多いです。寄生部位に丘疹や小水疱などがみとめられます。病態が進行すると、角質の増殖が起こり、病変部が白色を呈します。疥癬は激しい痒みが特徴で、時に不眠になることがあります。また、皮膚を掻くことによって外傷が生じ、細菌などの二次感染をうけることがあります。



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~発生状況~



 動物のヒゼンダニは人への感受性が必ずしも高いとはいえませんが、場合によってはダニが定着し、次世代を生産することがあります。特に免疫機能が低下している場合には、本症を発症しやすくなります。



~予防のための注意~



 ・疥癬に感染している動物と接触しないようにしましょう。



 ・感染した犬や猫は早期に治療を行い、治癒するまで感染動物を隔離しましょう。



 ・感染動物に触れたら、速やかに手洗いを行いましょう。



 ・動物の周りの環境(犬小屋、サークル、トイレ、移動用のケージ・バッグ、ベッド、敷物など)は定期的に掃除し、リード、服、タオル、トリミング用の器具、おもちゃなどは定期的に消毒して、常に清潔を保ちましょう。



 ・ワンちゃん・ネコちゃんは定期的にシャンプーをしましょう。



〇皮膚糸状菌症



~病原体~



 皮膚糸状菌症は真菌類(カビの仲間)による感染症で、イヌ・ネコに多いイヌ小胞子菌(Microsporum canis)や毛瘡菌(Trichopyton mentagrophytes)、土壌性の石膏状小胞子菌(Microsporum gypseum)が主な原因菌です。



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?~関係する動物~



 ペットでは動物では主にイヌ・ネコが感染し、その他ウサギ、フェレット、モルモット、ハムスター などにも感染します。



~感染経路~



 イヌ小胞子菌や毛瘡菌の感染は、感染したイヌ、ネコ、ウサギ、ハムスターなどのペット動物との接触により人に感染し、石膏状小胞子菌は土壌や家庭のほこりに生息していたものが動物や人に感染します。皮膚糸状菌症は人から人にも感染します。



~動物の症状~



 境界明瞭な円形の脱毛部が同心円状に拡大する。病変は体の各所にみられ、いったん病変ができると急速に広がります。フケ、脱毛、発疹、痒み、びらん(皮膚のただれ)および出血がみられ、重篤になると化膿します。



 通常は、幼い犬・猫に症状が現れることが多いのですが、高齢や他の全身性の病気によって抵抗力が低下したり、皮膚状態の悪化に伴ない、現れることがあります。



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~治療~



 抗真菌薬の外用や内服で治療します。また、症状が全身性の場合は、毛を刈り、薬用のシャンプーで洗います。



~人の症状~



 症状から、頭部白癬(しらくも)、体部白癬(ゼニタムシ)、ケルスス禿瘡などに分類されます。



 頭部白癬は幼・小児に多く、毛髪に覆われる部分に円形の脱毛斑が現れます。脱毛斑はぬか様のフケで覆われています。発赤や浮腫などはみられず、痒みがあります。



 体部白癬は体幹部、四肢、顔面などに、周辺が盛り上がった境界が明白な環状の皮疹として現れ、痒みを伴ないます。



 ケルスス禿瘡は幼・小児に多く見られ、毛髪に覆われた部分に小さな膿疱が多数出現し、発赤や腫脹がみられ、圧痛を伴ないます。病変部の毛髪は抜け落ち、膿疱から膿を出すため、やがて患部全体がかさぶたで覆われます。



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~発生状況~



 水虫などを含めた白癬といわれる病気は、日本国内で1000万人以上が罹患しているといわれ、このうち毛瘡菌が約28%、イヌ小胞子菌が約1.9%とされています。



~予防のための注意~



 ・感染している動物には接触しないようにしましょう。



 ・感染している動物は早期に治療を行い、治癒するまで他の同居動物と隔離しましょう。



 ・動物に触れたらすぐに手洗いをしましょう。



 ・ワンちゃん、ネコちゃんは定期的にシャンプーしましょう。



 ・毛やフケなどから感染することもあるので、室内や飼育環境(サークル、クレートなど)の清掃や消毒を定期的に行いましょう。



 ・皮膚糸状菌は湿った環境を好むので、十分い換気をして、室内の温度や湿度に注意しましょう。


 

※ 全院で、夜間診療は行っておりません。